更新日:2011年08月17日
投稿者:荒井 正晴
一つの目安としてください。
「当社の適正借入残高は幾らですか」 と聞かれることがあります。
しかし適正借入残高を示す 決定的な分析指標 は、結論から言えば 「ありません」。
ただ、方法としては、経常運転資金と有利子負債の関係を見るとか、総資産に占める借入金の割合を見るとか
有利子負債月商倍率等がありますが、どれも業種業態・企業規模等によって異なります。
また「政策的な先行投資の場合の借入」と「明日の資金繰りのための借入」では
借入残高指標の分析結果が同じでもその見方は180度違います。
要は返済可能な借入残高であれば、適正借入残高と言えます。
返済可能かどうかの資金繰りを、正確に見ることは、かなりの経理知識と力作業が必要です。
そう言ったことは会計事務所や経理にまかせたとしても、
経営者としては大枠で返済可能かどうかを捉えておく必要があります。
ここで簡易的な判断方法を紹介しましょう。
返済原資は、基本的に儲け=利益からしか生まれません。
次の手順で貴社の借入を判断してみてください。
①まず貴社の利益(又は損失)から税金の支出を引いてください。
(返済は将来にわたりますから、現在繰越欠損金があって納税を免れていても
利益の場合は、安全性を考慮して概ね40%の税金は控除して下さい)
②次に経費のなかで、資金の出て行かない経費(減価償却費や引当金等)を加算してください。
③最後に経費にはならないが資金の出てゆく支出(借入の返済元金・保険の積立金等)を引いてください。
答えがプラスであれば、貴社の借入残高は適正であると言えます。
答えがマイナスであれば、返済が多いと言うことになりますので
返済期間を延ばして借り換えをするとか手を打つ必要があります。
赤字でも試してみてください、減価償却費が大きい会社はプラスの可能性もあります。
荒井