更新日:2012年03月23日
投稿者:滝澤 一志
最近読んだ本のなかで面白かったのが、この「東天の獅子」です。
著者は夢枕獏さんで、現在天の巻の第4巻まで発売されています。
題名である東天の獅子は、格闘技好きの人なら誰でも知っている
コンデ・コマこと前田光世を指しており、彼がブラジルに渡り柔道を教えたことで
グレイシー柔術が生まれたのです。
本来は前田光世のお話のはずなのですが
驚くことに第4巻の最後のほうに少年の前田光世がやっと出てきます。
著者いわく、前田光世を語るなら柔道を語る必要があり、柔道を語るなら
講道館とその創設者嘉納治五郎を語る必要があるということで
この天の巻はサブタイトルどおり嘉納治五郎のお話となっております。
嘉納治五郎の名前だけは知っていましたが
東京大学卒で学習院でも教鞭をふるっていたうえで
色々な流派の柔術をまとめて柔道を作り上げるという
文武両道のお手本というべき驚異の人物とは知りませんでした。
柔術VS柔道の闘いも読み応えありです。
この頃の人達の闘いに対する心構えが
現代とは違うのだというのもよく伝わってきます。
ひとつ気になるのが続編である地の巻が
いつ発売されるのかが不明であることです。
多忙な作家さんなので気長に待つしかないでしょう。
滝澤